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美味礼讃
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更新日_2006.09.01
北前船の昆布と瀬戸内イリコ


秋の涼しげな港へ帆船が入り船するのを眺め、俳人高浜虚子は、「ゆるやかに帆船はひりぬ秋の汐」と詠みました。

江戸時代、秋の尾道水道を真艫から吹く商風を一枚帆に受けながら行き交う幾艘もの和船の姿はもっと賑賑しいものだったと思われます。はるか北辺の地から積荷を満載にして航行してきた北前船たちです。
北前船の目的地は当時天下の台所と呼ばれていた大阪でしたが、その前に瀬戸内の物産の集散地であった尾道に立ち寄ることは船主たちの商いにとっても大変有意義なことでした。寄港地としての尾道の実力は大阪に比すほどと評され、商人たちは遂には積荷を全て直取引するほどまでになります。
北前船から尾道に運んでこられた品物の中特に大切に扱われたのが昆布です。昆布は、お出汁として料理に欠かせないものです。精進料理の発達した京の都や大阪は勿論のこと、北前船の寄港する港町にも昆布からだしを取る食習慣が根付きます。
さらに当時、新たにカタクチイワシを煮て干したものからだしをとる方法が生み出されます。関東では煮干し、関西では炒干しと言われる瀬戸内地方ではお馴染みのイリコです。特に安芸灘のものは良いだしがとれることから、イリコが最も美味しい季節である「秋」とかけてイリコは秋(安芸)が第一といわれ、全国にその名を知られました。瀬戸内地方では、今でもみそ汁の出汁はイリコ、近年流行の讃岐うどんのお出汁もまたイリコのきいた旨い汁です。
おせち料理とともに正月の行事食である雑煮も元々は年中行事や祭りの日などにご馳走としてつくられていました。雑煮は餅が臓腑を保養するという意とも、色々な具材を煮合わせることを意味するともいわれています。

この秋、桂馬ではかつて北前船が尾道にもたらした昆布と内海でとれる新鮮なイリコを桂馬風おでん出汁の元として、竹篭盛のおでん種とご一緒にお届けいたします。特に昆布は中でも最高級とされる羅臼昆布を吟味してご用意いたしました。昆布とイリコをきかせたお出汁は、昆布の旨み成分・グルタミン酸と、イリコの旨み成分・イノシン酸とが一緒になり、うまみのきいた深みのあるお出汁になります。もちろんイノシン酸の宝庫である桂馬蒲鉾の幾種類とご一緒に、さらなる海の豊饒をお届けできたらと思っております。

記 岸川裕尚

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