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一味同心:いちみどうしん、桂馬の目指すところ
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風光明媚な港町尾道ではその景色の美しさと人々のおおらかで自由な気風を慕い、古くから多くの文人墨客たちが訪れてきました。
大正元年(1912)尾道千光寺山の中腹にある棟割長屋に寄寓した志賀直哉先生もその一人です。父親との相剋や白樺派との対立で、“皆が嫌ひ”になっていた当時の志賀先生のかたくなな心を和ませていったのは、尾道の美しい風景と人々とのふれあいでした。気難しい青年の自炊生活も儘ならない独り暮らしの世話を何かと焼いたのが、隣に住む“親切な婆さん”こと小林マツでした。小説「暗夜行路」に登場するこの女性は桂馬蒲鉾の初代・村上桂造の祖母にあたります。そうしたご縁から桂馬蒲鉾初代と白樺派の文豪との交流は始まります。桂造は祖父母宅へ遊びに行った折、隣の志賀先生の部屋へも上がりこんでいたようなのですが、そんなときの志賀先生は小説の神様・志賀直哉先生ではなく気さくな隣の志賀さんであったろうと思われます。その後も桂造は渋谷常盤松にある志賀先生の自宅まで蒲鉾を届けに自ら赴き、たいそう喜んだ志賀先生から自身の写真を贈られるなど、ご縁を深めておりました。
後年志賀先生は、尾道での思い出を聞かれると、話は必ず隣の親切なお婆さんに及び、当時のさまを活き活きと身振り手振りを交えて、語っていたそうです。
桂馬蒲鉾商店はこれからも港町尾道のよき気風を受け継ぎ「小説の神様」志賀直哉先生にもご愛顧いただいた初代伝統の味を、いつまでも変わることなく皆様にお召し上がりいただけますよう、より一層蒲鉾づくりに励んでまいります。

店主敬白